[2022年10月16日 更新]
21世紀最大の愚策と思える、2016年度 都立高校一般入試の改悪
まずは2016年度入試で何がどう変わったかを説明する。
2025年度入試も同じである。
1. 換算内申の方法
<旧>国数英社理=1倍 美術・技家・音楽・保体=1.3倍 51点満点
<新>国数英社理=1倍 美術・技家・音楽・保体=2倍 65点満点
実技科目の重要度が増した。
これが最大の愚策であるが理由は、後ほど述べる。
2. 特別選考枠の廃止
<旧>一部高校では定員の1割を「内申点を考慮せず、検査点のみで合格とした」
<新>特別選考枠は廃止
これも愚策。
内申点が悪い生徒は、上位都立高校に受かる手がなくなった。実技科目オール3なら絶望的だ。
内申点がよくないが、学力は高い子の救済措置だった。
運動ができない、器用ではないといった子でもこの制度によって日比谷や西高校に行くことができたのだ。
3. 検査点(テスト)と内申点の比重
<旧>7:3が多いが、6:4や5:5も存在した
<新>原則7:3
これは良い策。しかし上記の1や2を覆せるほどではない。
しかも、下位校の受験生のテストの点ははっきり言ってマークシートの運しだい。
練馬、南葛飾あたりを受ける生徒は、マーク以外で英語は1点も取れまい。
国語もまたしかり。漢字なら多少できるが、作文で10点取るのは無理だろう。
◆なぜ実技科目の内申点が2倍になったか
理由はカンタンに想像できる。
「中学校の先生から要望があったから」であろう。
体育教師を除き、中学校の先生は生徒を抑えられない。授業が崩壊している区立中学校も珍しくない。
実技科目の内申点を上げることで、生徒を押さえつけようとする意図がミエミエである。
「おとなしくしてないと、内申点下げるよ。都立に行きたいなら私に逆らうなよ」という切り札を教師に持たせるためだ。
それでわりを食うのは、がんばっても実技科目で点を取れない中学生である。
音楽、保健体育、美術は残念ながら、努力をしようがもともと持っている素質・才能によって成績が決まる要素が非常に強い教科である。。
水泳のテストなら、運動神経がいい子、水泳を小さいころからやっていた子、水泳部の子が有利である。
体育のテストがあるので陸上部、水泳部、バレー部、サッカー部、バスケ部あたりは有利だ。
野球、卓球、空手あたりは体育の授業ではやらないので有利にならない。これでも差がつく。
特に2学期にテストのある水泳は、都立高校に行きたければ(内申点を上げるために)やっておくべき。ということが言える。
運動はできないがペーパーテストでがんばって5を狙う。これは私の指導経験上、不可能だと考えている。
ほとんどの体育教師は実技を重要視する。
ペーパーテスト90点で実技50点なら通知表は3だろう。よくて4。
ペーパーテスト50点で実技90点なら4はもらえる。教師によっては5だ。「ペーパーテストはほとんど通知表に反映させない」と公言する教師もいるのだから。じゃあ初めからペーパーテストするなよ。信じられんわ。
かくいう私も、中学時代に保健体育の期末テストで男子1位(男女でテスト問題が異なる)を取ったが通知表は4。
理由を体育教師に聞きに行ったら「本当なら3にしたいくらい。お前は実技ができないから」だってさ。
主要5科目なら「どうすれば点が上げられるか」が明確だ。
しかし、実技科目はそれがない。授業で教えてもらえることもない。
(体育の授業で”水泳のフォームをこうしたら早くなる”と、個人的に教えてはもらえない)
経済的事情があるが、学力はあって地道にがんばる子が都立上位校で国立大学を狙いたい。
そういう子を切り捨てる制度なのである。
また、経済的に余裕があるが実技科目ができない。でも学力は高い子は都立上位にいけないので私立上位に流れる。
実際に2018年入試ではそういう傾向があった。
◆中学校ごとに通知表の点の出し方が違う
文京区には7つの区立中学校がある。
各中学校の実技4科目、中学3年生で通知表が5の生徒の割合を表にした。

赤字は文京区内でもっとも割合が高いもの。
背景が水色なのは文京区の平均以下の中学校だ。
第十中が群を抜いて高いのが分かる。1クラス40名のうち、9人も「5」だよ。
なお中央区でもっともポイントが高い銀座中は12.4%、港区の高陵中でも19.1%。
中央区晴海中は6.0%だ。(2017年 2学期のもの)
※この数値は独自に入手したものなので、転載は遠慮願いたい。
中学校によって、いや中学校の教師の主観によって通知表は採点され
その点数を携えて都立一般入試に望まねばならないのだ。
都立に入る! Twitter (X) そのときに必要な情報をこっそりと。ミンナニナイショダヨ
@toritsukoko