都立入試英語 長文の語数は増加中

[2025年10月23日 更新]
かつて、中学2年生に「都立高校入試に文法問題はどのくらい出ますか」と聞かれたことがあります。

「実際に過去問を見て、自分で確かめなさい」
とぶっきらぼうに私は答えて、過去問題集を見せていました。

でも内心、
「入試傾向を知った上で勉強していこう」という彼の姿勢にひどく感心したものです。

皆さんもぜひ、自分で調べた上で入試傾向をつかんで欲しいです。
その上で、専門家の意見を聞き、自分の考えとのズレを修正しよう。

“調べる&考える”という行動は絶対にしておくべき。「何でも聞いたほうが早い」という思考は捨てよう。
何も考えずただ聞くということは、相手の時間を奪っていることに気づくべき。

都立に限らず、公立高校の入試問題は前年から大きく変化することは少ない。

都立ではマークシート導入、自由英作文でなくメールの返信を3つの英文で書く形式に変更、スピーキングテストの開始などここ10年でいろいろ変わりました。

◆都立入試の英語長文の語数は

年度大問3大問4平均点
2025660686134663.7
2024630648127866.9
2023613730134362.8
2022639657129661.1
2021557695125254.1
2020553751130454.7
2019571694126554.4
2018438672111068.0
2017406657106357.8
2016472607107957.4
2015452586103863.4
2014438608104653.7
2013481578105962.3
2012511654116558.1
2011396641103758.9
2010392633102549.9
2009386649103554.2
2008448599104750.8
2007447607105456.0

過去19年分の語数(word数)をまとめたのがこの表。
問の選択肢などは数えていない。本文のみの語数です。

かつては大問3と大問4で例年、1050前後の語数でした。
2012年度だけ100語ほど多かったが、2013年には元に戻っています。

2018年度に1100語を超えましたが、問題自体が易しかったため過去最高の平均点を記録しています。

そして2019年度、前年の平均点から「2019年度は難化するだろう」という予想通り英語の入試は難化。
その原因の一つとして、長文の語数が過去に類を見ないほど増えました。

2022年度以降、大問3は語数600を超えるようになった。
その一方で平均点は上昇。問題が易しくなったという面もあるが、受験生のレベルが上がっていることもあるのだろう。
中3で英検3級は、近年では珍しくもなんともなくなりました。

◆英語長文の語数増はトレンド
この変化はまったくもって想定内。
高校入試に限らず、大学入試でも長文化は進んでいる。

2019年度センター試験英語の総語数は約4200。かつては4000未満であったが年々増加している。
大学入学共通テストになってからはさらに語数が増加。2025年度は約5,600語。試験時間は80分とセンター試験時代と一緒です。

都立英語も2020年度入試は高すぎた平均点を下げる狙いもあり、さらに語数は増え1300語を超えました。
2022年度、大問3の会話文の語数がついに過去最多。15年で約1.5倍になりました。

リスニングで10分超を使うので、それ以外を解くのには40分弱しかありません。
都立高校入試で「読むスピード」は間違いなく必須。

ある市の調査によると、中3の平均読解スピードは48~56 WPM。
WPMとはWords Per Minute の略で、1分間に何語読めるかを数値化したもの。
数が大きいほど「読むのが速い」ということです。

読むだけなら70 WPM前後にはなりますが、「読んで問題を解く」ということになると当然スピードは落ちます。

平均の50 WPMだとすると、都立入試の大問3と4の長文を読むだけで25分かかります。
残り15分で大問2の英文も読み、3つの英作文もやって、さらに大問3と大問4の長文問題も解かねばなりません。

「平均のスピードでは、都立入試英語は最後まで終わらない」ことが分かるでしょう。

自分のWPMを知りたければ、以下サイトですぐ測定できる。もちろん無料。
速読英語 メジャーさん

中3の現時点で、英語長文を読みなれていないのはまずいです。
可能なら教科書以外の英文を読み、入試準備を進めておきたいところです。

普通なら頭が英語脳になっていないので、英文を読むときにラグが生じます
そのラグが出ないように、普段から少しでも読むクセをつけよう。