[2021年11月10日 更新]
「今からやっても間に合いますか」
受験生の保護者からよく出る質問である。特にこれから塾に入ろうとしているお母さんに多い。
塾を運営している立場としては「はい。大丈夫ですよ」と言うべきだ。
「いいえ。不可能です」なんて答えたらその塾には入ってくれないだろうから。
◆そんなの分からない
普段から塾に来ている子なら、成績・勉強習慣や性格などもある程度わかるので判断することはできる。それでも外れることも多い。
だがいきなり「今からやっても間に合いますか」と聞かれて「大丈夫」と答えられるわけがない。その子の成績も今まで何やってきたのかも知らないのに。
むしろ「大丈夫ですよ」なんて答える塾の方が怪しいと思わんものかな。
◆私なら「道は知っている」と答える
むろん状況によるが、私はたいていこう答える。
「どうすれば合格ラインにたどり着けるかは分かっています。お子さんが自分の意志でそれを遂行するなら、もっともゴールしやすい状況に持っていけるでしょう。ただし絶対合格とは言えません。お子さまのことを私はなにも知らないからです。」
ひと呼吸おいてから
「昨年度に同じようなことを言ってきた母子がいました。その子は自分の意志でやるといって、我々の指示をほぼ100%遂行してきました。
結果はどうなったと思われますか?」
「合格しました。ただしこれはまれなケースです。たいていの子はやるべきことを愚直に遂行できないからです。
だからお子さまと10分間、話をさせてください。それで本人がウチで勉強したいと言ったらまたご相談ください。
お子さまがウチの塾が嫌だと言ったら、ぜひそれを受け入れてやってください」
こんな感じだろうか。
言い方や間の取り方は、保護者によって使い分ける。
◆そもそも母親が話す時点でダメ
よく見るケースだが、母子で塾に来てお母さんばっかりがしゃべるケース。
これはまずダメ。子どもが初対面の大人(=塾の先生)に自分の思いのたけを伝える。保護者は隣で聞いているだけ。そのくらいの気概がなければまぁ間に合わないだろうね。
だから保護者の方は、塾では子どもと先生が話すことを聴くことに徹してください。質問以外は口出さない。
こんなことばかり考えている私は、サービス業としては落第野郎である。
でも、そんな塾があったっていいじゃない。