[2020年6月17日 更新]
今回は都立の中高一貫校について。
併設型中高一貫教育校は5校あり、うち2校は2020年度入試をもって募集停止する。これは2019年2月14日に「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」 で公表済みだ。
まとめると、
富士高校 … 募集停止済み
武蔵高校 … 募集停止済み
大泉高校 … 2021年度入試をもって募集停止
両国高校 … 2021年度入試をもって募集停止
白鴎高校 … 募集停止年度は未定
大泉と両国は高校から入学できるのは2021年度入試が最後。
現在の中1~中2はこの2校には入れないということ。
白鴎はいつまで募集するのかを明言していない。発表から1年以上たったのに。
そして先週木曜に発表があったのは
「2021年度入試では大泉、両国、白鴎の3校は5教科全てで共通問題を使用する」という点である。
照:都教育委員会HP
◆なぜグループ作成問題をやめるのか
ズバリ面倒だからだろう。
都立の併設型中高一貫校はなくし、中等教育学校(高校入学のない完全一貫校)は継続する。ということは「併設型は失敗だった」と都教委が判断したと言えるだろう。
残った3校もじきに高校入試をやめる。
だったらわざわざ労力をかけることはないという合理的な考えなのだろう。
ちょっと古い話になるが、2014年度入試から日比谷を始めとする自校作成問題は一度廃止された。
そして「グループ作成」に変わった。自校作成校を3グループに分け、同じ入試問題を使おうというプランである。
この時に都教委が発表した「期待される効果」は
(1)各校で選ばれた問題作成に関して高い能力をもつ教員が集まって共同作成することにより、学力検査問題の質の向上が期待できる。
(2)各校における結果分析に関するノウハウを持ち寄り、分析の手法を改善することで結果分析の精度が向上し、入学時の生徒の学力を一層的確に把握することが期待できる。
(3)作問及び教科指導に関する優れた実践等の情報の共有化を通して教員の教科専門力の向上を図るとともに、その情報を所属校に還元することにより、国語、数学、英語の教科指導の充実が期待できる。
(4)グループ共通の問題にすることにより、中学生が各グループ内の高校を選択しやすくなる。
あれ。
「問題作成の労力を軽減するため」という効果は記載されていないぞ。
きっと当時、担当者が書き忘れたんだろう。ちがいない。
この時から富士、武蔵、大泉、両国、白鴎の5高校は2020年度までグループ作成問題を使い続けてきた。
なお日比谷を始めとするトップ校はグループ作成に猛反発したのだろうね。2018年度からは元通りの自校作成問題に戻された。自分の学校が求める生徒を入試問題を使ってふるい分けてきたのだから、それを続けたいよね。
国際高校はマイペースで英語の自校作成問題を続けている。
話を戻そう。
そもそも併設型中高一貫校は受験者が少ない。
2020年度の大泉、両国、白鴎の一般入試受験者は計186名。 定員割れした墨田川高校だけでも250名が受験している。
大泉なんて男女とも定員割れだからね。通知表オール1でも合格できたわけだ。
200名足らずの受験生のために、なくなる高校入試の問題をわざわざ作成するのは面倒だということだろう。
ごもっともだ。

