人間が退化する理由

[2020年6月6日 更新]
6月に入ってから、塾での自習を許可している。

大学受験生、中学受験生はよろこんで自習に来るようになった。
中学生(=高校受験生)はまだまだ少ないが、充分に想定内である。

5~6月の真剣具合は
中学受験生 > 大学受験生 >>>>>>高校受験生
くらいだろう。

義務教育なのだからしなくてもいい中学受験。

それをあえて選んだ子たちなのだから真剣なのは分かる。「保護者に中学受験することを認めてもらった」ということは、真剣な姿を保護者に見せねばならないからね。

高校受験生は夏の部活引退がスタートライン、これが例年だった。

今年は様子が違う。
部活動がどうなるかよくわからないという理由もあるが、すでに動き始めている高校受験生もいる。

当然、上位校を目指す子ほどその割合は高いだろうね。

私は「準備に費やした量が多い人が、合格すべき」と考えている。
ろくすっぽ受験勉強もしないであっさり合格する。こんなストーリーは高校受験においては珍しくない。中学・大学受験に比べてヌルいから。

高校受験で「あれ、受験ってラクショーじゃね!?」と勘違いした子は、大学受験で痛い目を見る。現実は必ずしもそうではない。だがそうあって欲しい。

◆退化するが消耗はしない
久しぶりに自習でぞろぞろ生徒が集まってきた。

質問をしたいという子もいる。そこで気づいたことが2つ。
・生徒の質問の仕方がヘタになっている
・私の教え方のキレが鈍っている

私は生徒が正しく質問するようにしつける。
「問題の何が分からないか」
「自分ではどう考えたのか」

これを言えなければ質問には答えない。「まず答えと解説を見なさい」でおしまい。

塾に通い始めの子は面食らうがすぐ慣れる。

質問すべきこと、何を自分は理解していないのかが分からなければ、質問して教えてもらっても「分かったつもり」になるだけ。

教える私も時間のムダ。質問する生徒も時間のムダ。いいこと1つもない。まぁ「勉強したつもりになれる」くらいか。

しかし自粛期間の2か月超、Zoom以外での質問受け答えをしてこなかったので生徒の質問の回数は減っていた。その結果、質問の仕方も明らかにヘタになっている。

まあすぐ元に戻ってきたが、これは恐ろしいことだよ。

人間は慣れる生き物だ。いい意味でもあり悪い意味でもある。

普段から使っている機能はより使えるようになっていく。
使わなければ衰えていく。

いい例が走ることだ。
この休校期間は体育の授業がなかった。
小中学生は最低でも体育の時間で運動をするものだが、4~5月はまったく運動をしなかった子もいるだろう。ほとんどの子は2月までよりも体を動かしていないはずだ。

じゃあ学校が再開して体育の授業をやった時、その子らはどう感じただろう。
走るとすぐ疲れる、足が痛くなるなどではないか。それは身体が衰えたのだ。

もちろんしばらくの間、運動を続けていれば元には戻っていくだろう。これは「マイナスをゼロ」に戻す作業であり、成長ではない。

勉強も全く同じこと。

やらなければ脳は衰えていく。使わない機能にエネルギーを割かないようになっているんだね。もったいないから。

定期テスト前の2~3週間だけ勉強するというのは、脳を衰えないよう食い止めてるに過ぎない。成長ではないよ。

7月に定期テストのある中学校・高校も多い。
今からテスト勉強をしておけば”進化”できるだろう。

一見、周りの子らは勉強していないようだが、キミらのライバルになる子らは勉強しているよ。