[2019年7月14日更新]
◆中学卒業後の進路は過去11年間で激変!?
「平成30年度公立中学校等卒業者(平成31年3月卒業)の進路状況調査の結果」が、都教育委員会のホームページで公表された。
今回は過去11年分の進学率や就職率の動きを見ていきたい。
なお卒業年度2018というのは、2019年春に卒業したことを表す。

まずは中学卒業後に進学した者、進学率を見てみよう。
進学先は
・高等学校(=高校)
全日制、定時制、通信制に分けられる(数が少ないため今回は通信制を集計していない)
・専修学校
・特別支援学校
がある。
専修学校は聞きなれないかもしれない。
学校教育法では、専修学校は修業年限1年以上、年間授業数800時間以上、常時40名以上の学生が在籍している教育施設であること とされている。
専修学校には「高等課程」「専門課程」「一般課程」の3つの課程がある。
中学卒業後に進むのは、一般的に「高等課程」を置く専修学校である。こちらは「高等専修学校」という。
「専門学校」と呼ばれるものは、上記の「専門課程」を置く専修学校のことである。専門学校に入る条件は「高校または高等専修学校(3年生以上)卒業以上」と定められている。普通、専門学校といって思い浮かべるものがこれだろう。
東京都の進学率は2013年度に98%を超えた。
実は東京都、中学卒業後の進学率は全国で見ると平均レベル。大学への進学率は全国1位である。
なお全国で99%を超えている県が2つある。どこだろうか。
答えは記事の最後に書いた。ぜひ考えてもらいたい。
◆都立進学率↓ 私立進学率↑
では都立・私立高校への進学率はどう変化しているのか。
卒業者数が近いので、2009年度と2018年度で比べてみよう。
2009年卒業生 77,331名
2018年卒業生 77,382名
2009年 都立進学者 42,109名
2018年 都立進学者 41,237名
2009年 私立進学者 23,713名
2018年 私立進学者 25,057名
都立高校は900名弱、生徒数が減っている。
私立高校は1,300名弱、増えている。
進学率が上がったので高校生の数が増えているのだが、それにしても都立進学者は減っているのだ。
都立復権! などという声も聞くが、実情はやや異なる。
じわじわと私立高校への期待が高まっているのが、数字で分かるだろう。
グラフにすると分かりやすい。

◆都立人気は下がっていない
私の結論は
「都立人気が下がったのではなく、都立下位校の人気が下がった」である。
過去の記事でも述べているが、中上位は人気が下がったとは思えない。
都立下位校の人気が下がった理由は、
・「都立下位校に行くくらいなら、私立の方が面倒見がいいだろう」と考える保護者が増えたこと。
・授業料軽減助成金により、私立高校と都立高校の実質授業料に差がなくなったこと。
・専門学科でなく、普通科への進学者が増えたこと。(専門学科は都立の方が圧倒的に多い)
私立大学への合格が難化していることに気づいている保護者は、わが子を大学付属高校に入れようとしたのも一因。
あの京北高校がこんなに併願優遇の基準が上がったのは、当然「東洋大学京北高校」という冠がついたおかげだろう。
京北学園白山高校は、偏差値40程度ながら東洋大学への推薦枠があったのだ。
当時の塾関係者と卒業生くらいしか知らなかっただろう。
京北高校の敷地を東洋大学に譲り、「東洋大学」の冠を手に入れた甲斐はあったようだ。
日本大学の付属高校は数あれど、東洋大学の付属高校は都内でここしかない。
アメフト部が不祥事でも起こさない限り、東洋大学京北高校は人気が高止まりするだろう。
都立に入る! Twitter (X) そのときに必要な情報をこっそりと。ミンナニナイショダヨ
@toritsukoko
答え
石川県99.1%、山形県99.0%
<出典:統計でみる都道府県のすがた2019>