部活を理由に塾をやめるということ

[2025年7月3日更新]
中学生が塾に通い始めるのに、何らかの理由があるはず。

たいていはこの2つの目的達成だろう。
1.志望校に合格するため
2.中学校の授業を理解して、定期テストの点を上げるため

「友達が通っているから」「好きな子が通っているから」
などはきっかけであり、理由とは言えない。

であれば、塾をやめるのは目的を達成したからということのはず。
そうでないのに塾をやめるのは、虫歯の治療の途中で通院をやめることに近い。まずいことだ。

もっとも、その歯医者(=塾)があまりにヤブなので、他の塾に切り替えるというのなら良い。
これを前提として、今回のテーマだ。

◆部活が忙しいから塾をやめる? それは異常だ
これが私の考えである。

部活が忙しくて勉強との両立ができない。
だったらやめるべきなのは部活だろう。

キミが中学生活の2年半、勉強を放っておいて部活をやることにどんな意味があるのだろう。

例えば、野球部に入っていたとする。
キミは野球でどれだけ上にいけるのだろう。
中学校でいちばん上手い。このレベルなら都内に800人はいる。全国なら10,000人以上になる。

全国で10本の指に入る。このレベルなら高校側から「ウチに来て欲しい」とスカウトがくるだろう。
そのレベルであってもプロになれるかは分からない。

NPBでプロ野球選手になれるのは毎年100名もいない。これは高卒だけでなく大卒や社会人も含めてだ。
2024年プロ野球ドラフト会議で指名された高卒は22名だけ(ほか、育成選手は35名)、各都道府県のトップ選手であってもプロになれるとは限らない。

そうやってプロになったとしても、1軍にいられるのは29名。チームメイトの半分以上は2軍や3軍にいることになる。
全く活躍できず3~4年でクビになる選手も少なくない。ケガや病気で引退するケースもある。

広島カープの赤松真人選手は胃がんが発覚し、2017年に手術を経て復帰した。
しかし1軍出場はかなわず、2019年で引退することになった(2025年現在 広島カープ一軍外野守備・走塁コーチ)

いくらがんばっても、野球でメシを食っていくのはほぼ不可能だ。
確率で言えば、1年間のうちに3回クルマにはねられるくらいだ。ありえない。

それでも野球はまだマシなほうだ。

陸上競技、卓球、バドミントン、剣道などは日本一だとしてもそれだけでは一生は食っていけない。
オリンピック金メダリストですら、柔道・体操・フィギュアスケートなど人気種目でなければ同様である。

キミはそのくらいの成果を出してきたのだろうか。
100%「No」だろう。

間違えないでほしいのだが、「部活をするな。部活などやっても無意味だ」と言いたいわけではない。
やりたいならやればいい。それは自由だ。

ただ、「部活があるから勉強ができない」というのはおかしいと言いたいのだ。

私もいろいろな生徒を見てきた。
野球やサッカーのスポーツ推薦で高校に行った者も、片手では数え切れない。
だが、そういう子の多くは、学校の成績も良かった。

たかだか学校の定期テストで、80点も取れないようなアタマなら、スポーツでそれなりの成果を出せるはずがない

これが私の結論である。

部活をやりたいのなら、学校のテストや提出物をこなせる”器用さ”を鍛えるチャンスだと思って、やるべきことをやって欲しい。

最後に。
部活の顧問は、キミの進路に責任を取ろうとはしてくれない。
自分の進路は自己責任だ。