都立高校受験は女子に不利なのか

[2021年5月29日 更新]
先日こういった記事がネットニュースでやや話題になった。

都立高入試、男女の合格ラインで最大243点差 8割で女子が高く

都立高入試、男女の合格ラインで最大243点差 8割で女子が高く | 毎日新聞
東京都立高校の普通科の一般入試は、募集定員を男女に分けて設定しているため性別によって合格ラインが異なる。都教委は毎年30~40校を対象に是正措置を講じているものの、2015~20年に実施した入試では、対象校の約8割で女子の合格ラインが最終的...

参照:毎日新聞

あおる数字を見出しに持ってくるのは新聞では珍しいことではない。

この点について私の見解を述べる。
結論から言うと「女子に厳しい現実はあるが、そこまで大きな問題とは思わない」

特に断りがないものは、2021年度入試の数字を使っている。

◆募集定員は男子の方が多い
基本的な知識として、都立高校全日制普通科は全国でも珍しく、男女別の定員を設けているのはご存知だろうか。

例えば日比谷高校の一般入試募集人員は
男子 132
女子 122

となっている。男子が多い。

島しょを除く全日制普通科の一般入試募集人員は以下の通り。

※島しょは全校定員割れであり、受験者全員が合格するため選抜試験になっていない。よって除外している。

男子 10,705(51.92%)
女子 9,914(48.08%)

全体を見ても男子の方が多い。
これは、その年代の子どもの数が男子の方が多いからである。

2021年1月の東京都の15歳人口は
男子 49,467(51.19%)
女子 47,171(48.81%)
参照:東京都の統計

男子が2,300人ほど多い。
男女の人数比を比べると、もう少し女子の募集定員を増やしてもいいように見える。

一方の私立高校普通科、圧倒的に女子の方が募集定員が多い。
男子 1,661
女子 3,889
共学 14,290

受け皿としての私立高校に回す分、都立高校普通科はわずかに女子に不利にしているのかもしれない。

◆女子の方が受験者が多い
次に旧学区ごとの受験者数を見ていく。

募集定員はどの高校も男子の方が多い。その中でも女子の方が受験者が多かった学校数を挙げる。

旧1学区 9校のうち3校
旧2学区 9校のうち7校
旧3学区 11校のうち7校
旧4学区 8校のうち5校
旧5学区 10校のうち4校
旧6学区 14校のうち4校
旧7学区 13校のうち3校
旧8学区 10校のうち4校
旧9学区 11校のうち6校
旧10学区 9校のうち6校
全体 104校のうち49校

女子の方が受験者の多い学校は49校。半分に満たない。

「女子受験者数-男子受験者数」の差が大きい高校は、
三田 83
向丘 59
上野 44
松原 40
日本橋 39
広尾 39
目黒 36
井草 34
狛江 33
小平 31
桜町 30

都心の高校が目立つ。多摩地域は狛江と小平のみだ。

女子人気は東高西低なのである。

◆男女の学力差はない!? 
男女で合格最低点が違うということを毎日新聞は大きく取り上げている。

確かにそういう学校もあるだろう。

男女で243点差なんて、マトモな高校受験ではありえない。

具体的な学校名は公表されていないので、この考えは私の予想だ。
もちろん都の発表がウソだと言いたいわけではない。実際に243点差の学校はあるのだろう。

ではなぜそのようなことになるのか。

次回、私の見解をお伝えする。
この週末に皆さんもお考えいただきたい。
ヒントはここを読めばわかる。

<過去記事:2021年度 全入が確定した都立高校