[2021年5月31日 更新]
一昨日の記事の続き。
都立高校入試において、女子が不利なのかどうかという話だ。
特に断りがなければ、数字は2021年度一般入試のものだ。
◆通知表の点数は女子の方が高い
これは東京都の発表などではなく、私の十余年間の塾講師生活での感覚である。
ならしてみると女子の方が通知表の点数が高い。特に実技教科の音楽と保健体育。女子が男子と比べて通知表が高ければ、テストの点が男女で同じくらいだったとしても総合得点の合格最低ラインは女子の方が高くなる。
なぜか。
あくまで主観であると前置きしておくが、男性教諭は男子に厳しく女子に甘い。一方で女性教諭は男女ともほぼ同じように扱うように思う。
なお2020年の中学校女性教師の割合は43・7%、半数以下である。
中学生の男子には言動が「生意気」と映る者も少なくない。中学生男子に辛口評定をつける教師は残念ながら存在する。
つまり教師にとって「中学生男子」というだけでマイナス要素なのだ。
これが「女子の方が総合得点が高くなる」と考える理由の1つである。
◆男女枠の緩和は役に立っている
都立一般入試では男女別の定員はあるが、「男女別定員制の緩和」という制度がある。
2021年度は42校が採用した。詳しくは過去記事を読まれたい
<過去記事:「男女別定員制の緩和」とは>
これにより「男子の合格者が増えた高校」と「女子の合格者が増えた高校」がある。区部だけだが集計してみると以下の通り。
男子の合格者が増えた(4校)
大崎、江北、淵江、葛飾野
女子の合格者が増えた(22校)
三田、雪谷、田園調布、目黒、広尾、松原、桜町、千歳丘、武蔵丘、鷺宮、井草、練馬、文京、向丘、大山、足立新田、日本橋、本所、深川、東、小岩、南葛飾
定員割れ(3校)
深沢、青井、葛西南
差がない(2校)
豊島、江戸川
例えば三田高校。
男子定員107 合格97
女子定員99 合格113
男子の合格者は10名削られ、女子は14名増えている。
都立は定員より数名多くの合格者を出す。その差分もすべて女子が獲得している。
こういう学校が圧倒的に多い。逆パターンは大崎、江北、淵江、葛飾野の4校だけ。江北を除き旧学区の最下位レベルの高校ばかり。
この制度自体は一定の効果が出ていると見ている。
◆こんなケースもある
学校ごとのデータは公表されないので以下は推測も含む。
出願が締め切られた時点で「全入」が判明する高校がある。
都立は出願者が募集人員を下回った時点で、受験者全員が合格確定する。
つまり入試当日、何点取っても合格することが決まっているのだ。0点だっていい。
こういう生徒がテキトーに埋めた答案を出し、5教科で30点くらいだったとしても合格者になる。
こういうふざけた男子が1名いて、女子は全入でも真面目に受験したとする。こういう高校なら合格最低点が200点差になっても不思議ではない。
例えば、通知表がオール2の男女がいて、彼らが男女それぞれの最下位だったと仮定する。テストは5教科500点満点で考えよう。
男子Aくん テストで25点を取る →総合得点155点
女子Bさん テストで175点を取る →総合得点365点
これで合格最低点の点差は210点となる。
2021年度都立一般入試、全日制の全入は40校もある。島しょの高校を除いてもだ。
これらの高校で上記のAくんBさんのようなケースがあれば、最低点の点差200点など何校でも発生しうる。
むろん、一定の倍率が出る都立高校ならこんな事態にはならない。
派手な数字に踊らされないでほしい。
次回に続く。
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